【書籍紹介】FACT FULNESS 〜世界に「問題があること」と「良くなっていること」は両立する〜

スキルアップ

はじめに

みなさんは、世界は良くなっていると思いますか?

この質問に対して、多くの方がポジティブな回答をしないでしょう・・・
本書ではその理由は、みなさんが次のような先入観を持っているからと伝えています。

世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。

金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。

何もしなければ天然資源ももうすぐ尽きてします。

「[FACT FULNESS:イントロダクション]ドラマチックな本能と、ドラマチックすぎる世界の見方」より

この内容には、もちろん事実が含まれています。
しかし、同時に事実の「一部を切り取った情報」をもとにした思い込みも含まれているのです。

本書では、人が短絡的な結論を出してしまう思い込みを「10個の本能」として整理しています。
そして、それぞれの本能を具体例と事実を交えながら、詳細に紹介しています。

これらの思い込みは、地球規模の問題だけでなく、私たちの日頃の判断にも関わりがあります。
気になった方は、ぜひ本書を読んでみてください!

FACT FULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
created by Rinker

本書の構成

イントロダクション

本書の書き出しとして、著者が好きなサーカスから「剣飲み」のパフォーマンスを紹介しています。

演者が細長い剣を飲み込んでいく様子は、「ありえなえい!」、「何でできるの??」というリアクションと共に観客を惹きつけます。

しかし、著者が医大に進み、人体の構造を学ぶと中でハッと気づきました!
「あれ、顎の骨を前に押し出せば喉の通り道が真っ直ぐになる・・・そして、剣が通ることができる」と!!

そして、この考えをもとに著者が剣飲み実践すると見事に成功しました。

「ありえない」という思い込みで思考停止してしまうと、その先にある真実に基づいた正しい検討や判断ができなくなってしまいます

次章から思い込みを引き起こす原因を「本能」と呼びながら、読者に紹介しています。

第1〜10章:具体例の紹介

本書で示された具体例は次の10個となります。

第1章:分断本能    「世界は分断されている」という思い込み
第2章:ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
第3章:直線本能    「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
第4章:恐怖本能    「危険ではないことを、恐ろしいと考えてしまう」思い込み
第5章:過大視本能   「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
第6章:パターン化本能 「一つの例がすべてに当てはまる」という思い込み
第7章:宿命本能    「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
第8章:単純化本能   「世界は一つの切り口で理解できる」という思い込み
第9章:犯人探し本能  「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
第10章:焦り本能    「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

ここに書かれた文言だけを見て、ピンとくるものもあれば、「何それ??」と思うものもあるでしょう。
ただ、全ての章に「本能」や「思い込み」という言葉が付いているので、著者から読者へ何か考えて欲しいことがあると読み取れます。


ここで、『第2章:ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み』に少し触れてみます。

ニュースでは、大国同士の緊張が高まり、各地で紛争が絶えず、金融は不安が膨張し、ついには地球温暖化で人類存続の危機が囁かれています。

もちろん、これらは事実であり、これだけ聞くと「人類滅亡が間近なのか?」と悲嘆に暮れずにはいられません・・・

でも、待ってください!!
世界には、悪いニュースだけでなく良いニュースもあります

その例が、貧困の減少です。
極度の貧困状態とされる1日2ドル以下で生活する人の割合が1800年:85%に対して、2017年:9%と改善しています。

もちろん、いまだに9%の人が貧困で困っている状態は改善すべきです。
しかし、同時に85%→9%に減少させた実績にも目を向けるべきです。

すなわち、これまでの取り組みで75%改善させた要因(効果があった取り組み)9%が手が届かなかった要因(不十分だった取り組み)を分析して、今後のアクションを決める必要があります。

もし、「不十分だった取り組み」のみを見て現状を非難してしまうと、「効果があった取り組み」も否定することになってしまいます。

第11章:ファクトフルネスを実践しよう

10個の具体例から、人間は目の前にある情報で短絡的に結論を付ける本能があると分かりました。

ではどうしたら良いのでしょう?
著者は、謙虚さ好奇心の大切さを伝えています。

謙虚さは本能を抑えて事実と正しく向き合う姿勢を、好奇心は新しい情報を積極的に探して求める姿勢を伝えています。

本書が伝えていること

本書では、「人間は目の前にある情報で短絡的に結論を付ける本能がある」と伝えています。
しかし、これを不要な本能で間違いであるとは言っていません!!

毎日触れる全ての情報を完璧に精査していたら、どれだけ時間があっても足りません。
または、緊急事態に遭遇したとき、ゆっくりと情報収集などしてたら命の危機が高まります。

大事なことは、本能があることを理解した上で判断することです!

例えば、暗い夜道を一人で歩いているとガラの悪そうな人が後ろから付いてきている気がします
この時、恐怖本能(「危険ではないことを、恐ろしいと考えてしまう」思い込み)は、「逃げた方が良いんじゃない?」と告げます。。。

もちろん、人を見た目で判断するのは失礼ですし、そもそも自分の思い過ごしかもしれません・・・
しかし、ここで「気の所為」と無視したり、まして事実を確認しようと本人に「あなたは何者ですか?」と聞くのは、危機意識が足りなすぎますよね・・・

多くの人は、そーと距離を取るか、人気の多い道に移動するかすると思います。
大事なのはバランスなのです

自分の判断が、「本能によるもので十分か?」、「事実を深掘りする必要があるか?」を考えられるようになれるのが著者の望みだと考えます。

最後に

私はIT系の仕事をしている中で、「トラブル対応」を行うことがあります。

「システムが停止した!すぐに何とかしなきゃ!!」となると、焦ってジタバタとしてしまいます。
しかし、落ち着いて考えると「今は応急処置だけして、来週までにしっかり対応すればOK」という場合もあります。

しかし、一呼吸置いて、「何が起こったか?」、「影響範囲はどこか?」、「どの程度猶予があるか?」、「何をすべきか?」を整理できると適切な緊迫感を持ってリカバリに望めます。

本書は、私の「問題が起きた→即対応」という短絡的な発想を変えてくれたキッカケを与えてくれました。
ぜひ、みなさんにも読んでいただき、ステップアップのキッカケになってもらえると嬉しいです。

FACT FULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
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